思うこと

昨年は翻訳業界の将来はどうなっていくのかなんてことを考えることが多い年だった。それが自分の身の振り方を変えたというわけじゃないけど、取りあえずまとめてみる。

翻訳業界が二極化していく動きは今後さらに進むんだろうと思う。それは二極の間の部分が下側の極に吸収されていくということ。

もちろん高度な専門知識や文章表現力が必要な分野は上の極として残る。

でも大量多国語プロジェクトを扱うような大きな翻訳会社にとって、目指すところは「個人翻訳者の能力差に左右されない均質的な成果物の納品」なんだと思うんだよね。「誰でもできる」とまでは言わないにしても、それほど能力がない人でも駆け出しで経験が足りない人でもそこそこのレベルの成果物を出せるというゴール。翻訳メモリー(TM)ツールはそれを達成するために使われている。

一方ではTM(翻訳メモリー)ツール使用推進による均質化、他方では機械翻訳利用の拡大。最終的には両者の統合による翻訳者のポストエディタ化。TAUS (Translation Automation User Society) あたりが目指すところはここで、これが下の極。

で、みんなが知りたいのはこの上下の極の間がどうなるかなんだけど、今のところ流れとしては、この「平均的翻訳者」が属する中間層がどんどん下の極に引っぱり込まれている感じがする。しまいには吸収されてしまうのかもしれない。

何だか元気が出ない新年の所感でした。