上の図を見たことがありますか?
Warming stripes(温暖化ストライプ)またはclimate stripes(気候ストライプ)と呼ばれるもので、産業革命以来の世界気温の変化を左から右へ時系列で示す図です。ストライプの1本1本が、1年間の平均気温を示していますが、1世紀以上のスパンで見た時に、近年気温が急上昇していることがわかります。
この図は、#ShowYourStripesというウェブサイトからダウンロードできます。上に示しているのは世界全体の平均気温ですが、特定の国や地域に絞りこんだストライプも用意されています。
地域差はあるものの、どれも左の方は青く右端は赤いという点が共通していて、温暖化が世界的な現象であることがわかります。
このストライプを考案したのは英国レディング大学の気候科学者エド・ホーキンス教授。IPCCの筆頭著者のひとりでもあります。
さて、最近発表されたIPCCの第6次評価報告書では今後の温暖化ガス排出について5つのシナリオを使って影響を分析していますが、この温暖化ストライプを使ったシナリオ説明図が収録されています。
曲線の矢印は、排出量がピークに達し減少に転じるタイミングを示しています。また、1/2と0という数字は、それぞれ排出量が半減するタイミングとネットゼロを達成するタイミングです。
パリ協定の1.5℃目標を達成するには、いちばん下に示す、すぐに排出量の増加を止めて2050年頃までにネットゼロを達成するという野心的なシナリオ(SSP1-1.9)に沿った取り組みが必要です。一方、いつまでも対策が進まない状況が続ければ、いちばん上の暗赤色のシナリオ(SSP5-8.5)が現実になってしまう可能性もあるのです。こうして視覚化することで、事態の緊急度が実感できますね。