以前「幹線道路網を野草のお花畑網に」という記事でも書いたように、世界中で昆虫が激減している問題が注目され、英国では野草が花を咲かせることができるエリアを増やそうという活動が広がっています。
各地の自治体でも公有地を使った取り組みを進めるところが増えていて、今年は私の住むダンディー市も新しいプロジェクトを立ち上げました。市内には緑地がたくさんあって、私はアロットメントに隣接する緑地をほとんど毎日のように通るのですが、その片隅に突然、マルハナバチをあしらった”Feeding the Bees”という看板が出現しました。
続いて緑地の一部の芝が取り払われました。野草の種を撒いたということでしたが、それからしばらくはただのむき出しの土があるだけで、本当に育つのかなあと半信半疑で見ていました。でも、初夏にやっと緑の芽が吹き始めたかな?と思ったら、気温が上がるとともにぐんぐん育ち始め、夏至を過ぎた頃からぼちぼち花が咲き始めました。その後はどんどん花が開いて、見事なお花畑に変身。野草ってすごいなあと目を見張りました。季節が移り変わるに連れて花の種類も変わっていき、遠くから見ると全体の色が青から黄色、白へと変化していくのも面白いです。
プロジェクトの概要や撒いた花の種類を説明する看板によると、このプロジェクトはエデン・プロジェクトの一環であるNational Wildflower Centreの主導で進められているようです。
また、別の緑地では花の種を蒔く代わりに、一部芝を刈らずに花穂を出させて昆虫や野鳥が利用できるようにするというプロジェクトを進めているようで、こちらには”Wild Grass”という看板が立っていました。地味ですが、風に揺れる花穂がきれいで、違った風情があります。
テイ川を展望できる高台の公園では、去年まで花壇に毎年ベゴニアやマリゴールドといった耐寒性のない一年草をカーペットのように植えていたのですが、今年はデザインのリニューアルと同時に、花壇も多年草を使った自然な感じのデザインに変更されました。使われている植物はどれも蝶や蜂などが好む花が咲く種ばかり。野草のお花畑の他にも、町のあちこちで生物多様性への配慮が進んできている印象があります。
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