2018年10月16日、英国の大手電力会社スコティッシュパワー社は、発電事業の100%グリーンエネルギー転換を達成したと発表しました。
英国では1990年にそれまで国有だった電力事業が民営化され、電力市場が始まりました。発電・送電・配電(小売)がそれぞれ民間企業として地域ごとに分割され、1社が全国の送電を担い、発電と小売は元国有企業に加えて新規事業者が市場に参入する一方、合併・買収による統合も進み、欧州資本も入ってきました。また、並行して進められたガス市場の自由化により、電気・ガスの両方を供給する統合エネルギー企業が大半となっています。大小合わせて50を超える企業がひしめく小売市場では、全国どこに住んでいても自由に供給会社を選択できる仕組みで、供給会社を変えるのも簡単です。とはいえ、市場シェアの大部分は、1990年の民営化で誕生した企業をルーツに持つ6社(通称Big Six)の寡占となっています。
スコティッシュパワー社はこのビッグ6のひとつ。名前からわかる通りスコットランド南半分を担当していた国有配電事業者が民営化されて生まれた企業で、現在はスペインのイベルドローラ・グループの傘下にあり、英国のエネルギー小売市場第4位。また、スコットランドにいくつもの発電施設を所有しています。
スコティッシュパワーはスコットランド自治政府の意欲的な脱炭素政策を受けて、これまで順次発電のグリーン化を進めていました。大規模なウィンドファームを建設する一方で、2016年には石炭火力発電所を閉鎖、そして今回ガス火力発電所をまとめて売却し、発電を水力・風力のみに集約して、100%再生可能電力への転換を達成したわけです。
小規模事業者の中には以前から再生可能電力100%を売りにしている企業はありましたが、今回初めてビッグ6企業が脱炭素化を達成したということで注目を浴びています。
また2018年11月5日には、交通・輸送の脱炭素化を促進するサービスとして、再エネ発電で供給された電気で電気自動車(EV)を充電する、家庭用「再エネEV充電パッケージ」の販売も開始しました。