スコットランド、生理用品無料提供を法制化

昨日スコットランド議会で、必要な人は誰でも無料の生理用品を入手できるようにするための法案が可決されました。


「生理の貧困(period poverty)」 という言葉があります。経済的な理由で生理用品が買えない状況のことを指し、ここ数年世界各国で注目を浴びるようになっています。2016年のカンヌ映画祭でパルム・ドールを受賞したケン・ローチ監督の作品『わたしは、ダニエル・ブレイク 』を見た方は、食べるのにも困るほど困窮しているシングルマザーのケイティが生理用品を万引きする場面を覚えているでしょうか。
特に、低所得家庭の女子が生理用品を買えないため毎月学校を休まざるを得ず、勉強についていけなくなるという問題もクローズアップされるようになりました。そのためスコットランド政府では、数年前から全国の学校・大学で無料の生理用品を提供するという政策を導入していました。学校のトイレに入ると、手洗い場にナプキンやタンポンが置いてあり、自由に取ることができます。
また、生理の貧困撲滅運動が広がる中、自主的に無料の生理用品を備え付けるようになった施設や店舗も徐々に増えていました。我が家の近所でも、無料のナプキンやタンポンをトイレに備えているカフェやバーがいくつかあります。
   
(左)トイレの手洗い場に置いてあるナプキン
(右)教会ホールの男女共用トイレに置いてあったナプキンとタンポン。壁のポスターには「あなたと家族が必要なだけお取りください」と書いてあります。

しかし、その時々の政府方針や善意に依存するのではなく、「生理の貧困」撲滅を法制化する必要があるという認識から、野党労働党の女性議員が2019年4月に生理用品無料提供法案を提出しました。経済的に生理用品を買う余裕がない人でも生理用品を入手できるよう、教育機関や公共施設で無料の生理用品を提供することを地方自治体に義務付ける内容です。やっと今日最終投票に達したこの法案は、全会一致で可決されました。
学校で無料の生理用品を提供する制度は、スコットランドに続いてイングランドやアメリカの一部の州でも導入されていますが、「必要な人は誰でも」という形での法制化は世界初だそうです。

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