IPCC第6次評価報告書(WG1)

8月9日にIPCC 第6次評価報告書第1作業部会報告書が発表されましたね。世界各地で酷暑や森林火災、大洪水など極端な気象・気候現象による災害のニュースが続く中での発表となり、注目されました。

IPCCとは国連が気候専門家を集めて1988年に設立した「気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate Change)」のこと。3つの作業部会に分かれていて、そのうち第1作業部会は自然科学的根拠に関する最新の知見をまとめる作業を行なっています。

過去の報告書と大きく異なるのは、温暖化が人間活動の影響によって引き起こされていることに疑いの余地がない(unequivocal)と初めて言い切っていること。また、世界気温の上昇は今後20年以内に1.5℃に達してしまうとし、パリ協定の1.5℃目標達成のためには急速なCO2排出量削減により2050年までにネットゼロを達成する必要があることを明らかにしています。

報告書は1,000ページを超える分厚い文書ですが、キーポイントをまとめた政策決定者向けの要約(SPM: Summary for Policymakers、39ページ)が別に作成されており、それを日本語でさらに要約した文書も気象庁サイトからアクセスできます。

IPCC AR6/WG1報告書の政策決定者向け要約(SPM)の概要
https://www.jma.go.jp/jma/press/2108/09a/ipcc_ar6_wg1_a1.pdf

また、日本から執筆に参加した国立環境研究所地球システム領域の江守正多副領域長が、SPMのヘッドライン・ステートメント14項目をわかりやすく解説する動画をYouTubeにアップしていて参考になります。

なお、第2作業部会(影響、適応、脆弱性)の報告書は来年2月、第3作業部会(緩和策)の報告書は3月に発表予定とのこと。その前に、今年は昨年から延期されたCOP26が英国スコットランドのグラスゴーで開催されます。スタートまであと80日を切りましたが、この場で世界が野心的な目標を合意する重要性が一層強まったと言えるでしょう。

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