サステナブルガーデニングで欠かせないのがコンポスト(堆肥)作り。化学肥料や薬品、ピート入りの市販コンポストを使わずに植物を育てるには土作りが何よりも重要で、自家製コンポストは土壌改良に理想的な上、廃棄物削減にも役立ちます。私の住む市の自治体では生ゴミと庭ゴミを回収し、別々に堆肥化して再利用に供しているのですが、我が家ではほとんど回収に出さず自家消費しています。
コンポスト作りで困るのが、肉・魚等に由来する生ゴミと調理済み食品ゴミ、そしてタンポポなど多年生の雑草。自治体のように大量のゴミを扱う施設では高温発酵になり、短時間でしっかり堆肥化されるため問題ないのですが、あまり庭が広くない家では量が少ないため温度が上がりません。低温発酵では多年生雑草の根が分解せずそのまま残ってしまい、できた堆肥を撒いたところでまた復活してしまいます。また、肉や魚、調理済み食品を入れるとドブネズミが集まってきてしまう可能性があるので、取り除いて回収に出す必要があります。そして、低温堆肥化プロセスは長い時間がかかるのも欠点、仕込みから完成までに半年〜1年以上待つ必要があります。
こうした問題を解決するため、入居直後のクリスマスに自分へのプレゼントとして、家庭でも高温堆肥化ができるというコンポスト容器に投資しました。
写真左奥の黒い容器がそのクリスマスプレゼント。HotBinという名前で販売されているコンポスト容器です。一般に市販されている容器が40ポンド程度で買えるのに対し、こちらは200ポンドもします。写真ではサイズがわかりにくいですが、高さ115cm、幅・奥行き55cmあります。容量は200リットルと、サイズのわりに少ないのですが、実はそれがこの容器の秘密。
一般的なコンポスト容器と異なりHotBinには底があり、その上に通気孔のついた中底を入れた二重底になっています。蓋は蝶番付きできっちりと密閉状態に閉まり、上には通気調節口がついています。壁は発泡スチロール製で分厚く、断熱性が高いのが特徴です。
一般的なコンポスト容器では夏でも40℃くらいにしか上がらず、冬には分解が止まってしまうのに対し、HotBinでは60℃くらいまで上がるので、高温発酵が可能です。分解が急速に進むので、数ヶ月で堆肥化が完了し、多年生雑草の根も残らないし、肉・魚等も含めすべての生ゴミを入れることができます。厳寒期でも低温発酵を継続できる温度は維持できるので、一年を通してコンポストを確保できるのも大きなポイント。
我が家では庭にはまったく何もない状態で厳寒期に使い始めたので、最初はなかなか温度が上がらずやきもきしましたが、それでも夏にはちゃんとコンポストができました。
HotBinで作ったコンポストは、普通の自家製コンポストとかなり質感が異なり、ねちゃっとしてむしろ牛糞堆肥に近い印象。生ゴミ比率が多いことと、HotBinは密閉構造になっているため、底から水分が抜けないことが要因でしょうか。HotBinで作った堆肥をさらに一般的なコンポスト容器に移し替えて水分を飛ばすと良いのかな?という気もしますが、生産が需要に追いついていないのでそのまま 使っています。
なお、HotBinの使用法説明書には、水分過多にならないようゴミと一緒にシュレッダーにかけた紙を入れて調整するよう書いてあります。我が家では夫婦ともプリンターを多用する仕事で、職業柄取扱い注意情報もかなりプリントします。それを捨てるのにちょっと気を使うのですが、HotBinに入れてしまえばすぐに分解されてしまうので、守秘義務遵守にも役に立つのでした。