緑肥(green manure)という言葉を聞いたことはありますか? 作物が植えられていない畑地に育て、ある程度育ったところで土中に鋤き込んで肥料にしてしまう植物のことです。
緑肥植物は、生育中には土の表面を葉で覆い、雑草が生えるのを防ぎます。また、鋤き込んだ後は土壌中に有機物が増えるので微生物が増え、水はけや保水性の改善にも役立ちます。また、マメ科の植物を緑肥として利用すると、根粒菌によって大気中から固定された窒素が土壌に還元されるので、窒素肥料代わりにもなります。
そういえば、子供の頃遊んだ近所の田んぼでは毎年早春にレンゲソウの花が咲いてきれいでしたが、レンゲソウもマメ科の植物。勝手に生えていたわけではなく、稲刈り後に種を蒔いて緑肥として育てていたのですね。
さて、我が家のアロットメントの欠点は、自宅から徒歩40分の距離にあること。我が家は車がなく、免許を持っている人もいないので、重くてかさばる資材を家から運ぶことができません。そこで困るのが、有機肥料の問題です。家の庭ではオンラインで取り寄せた牛糞堆肥や馬糞堆肥を使っているのですが、配達先をアロットメントに指定することはできません。かといって、大きくて重い上かなり臭う袋をかついで家からアロットメントまで持っていくわけにもいきません。それに比べて緑肥は蒔いてから肥料になるまでに時間がかかるものの、持っていくのは数10グラムの種だけなので扱いが簡単です。
というわけで、今年はイラクサの液肥、コンフリーの液肥と刻んだ葉のマルチに加え、緑肥も活用することにしました。使用したのはこの2つ。
左: Crimson clover 右:Phacelia tanacetifolia
左はベニバナツメクサ。クローバーはマメ科なので、窒素固定効果が期待できます。右はハゼリソウで、こちらは窒素はしませんが、雑草防止・土壌改善効果が高い緑肥植物です。また、どちらも蜜源植物として蜂を寄せる効果があります。大半は花が咲かないうちに鋤き込みましたが、ハゼリソウは区画の端近くに一部だけ、花が咲くよう残しておきました。淡い紫色がきれいです。