カーボンリテラシートレーニングを受けました

私は1990年に翻訳の仕事を始めましたが、10年ほど前に偶然サステナビリティ分野の仕事を請け負う機会があり、もともと興味のある分野だったことから、それ以来翻訳の専門分野を徐々に環境・サステナビリティ関連分野に移してきました。

私が正会員として所属している英国翻訳通訳協会(ITI: Institute of Translation and Interpreting)には、地域や言語、専門分野などに基づく会員ネットワークがいくつもあるのですが、3年ほど前に新しくサステナビリティ分野を専門とする(または志す)翻訳者・通訳者が集まるグループ、SHEA (Sustainability, Horticulture, Environment and Agriculture) Networkが立ち上げられ、私も早速参加しました。SHEAネットワークは定期的にオンライン勉強会を企画しています。その一環として昨年カーボンリテラシー(Carbon Literacy)に関するウェビナーがありました。私も日頃からCPDとして気候変動について独自に勉強したり、動画やポッドキャストなどを使って知識をアップデートしていますが、このウェビナーを聞いて、Carbon Literacyをあらためて系統的に学び、認定を受けたいと思うようになりました。

Carbon Literacy®トレーニングは、英国マンチェスター生まれのイニシアティブ、Carbon Literacy Projectの一環として行なわれています。このプロジェクトではCarbon Literacyという言葉を以下のように定義しています。

“An awareness of the carbon dioxide costs and impacts of everyday activities, and the ability and motivation to reduce emissions, on an individual, community and organisational basis.

(カーボンリテラシーとは、日常生活の活動に由来する二酸化炭素による負荷や影響の認識および、個人として、またコミュニティや組織として排出量を削減する能力や意欲を意味する

温暖化や気候変動について学び、私達ひとりひとりに何ができるかを考え、具体的な行動に結びつけるためのトレーニングを実施するのがカーボンリテラシープロジェクトの主旨です。

カーボンリテラシープロジェクトでは、対象参加者に応じたさまざまなトレーニングプログラムを認定しています。8時間の講習を受けてアセスメントレポートの審査に合格すると、Certified Carbon Literateという認定を受けることができます。その後はさらに知識を深めたり、職場やコミュニティで気候変動に関する意識向上や炭素削減の取り組みに関わったり、独自にトレーニングプログラムを立ち上げて、教える側に回ることもできます。公認ファシリテーターやトレーナーの資格を取ることもできますが、そのためにはまずトレーニングを自ら実施して、教える経験を積まなければならないことになっています。

数あるCarbon Literacyトレーニングプログラムの中から、個人事業者・フリーランス向けの2日間オンライン集中プログラムを選んで受講しました。参加者の働く分野はみな異なり、英国外から参加している人もいました。環境科学のバックグラウンドがある講師の指導で、1日目は気候変動のメカニズムについてみっちり知識を仕込みました。個人事業者・フリーランス向けプログラムなので、2日目はビジネスという立場からのネットゼロ推進に焦点を当て、スコープ1・2・3の排出量削減手段やビジネス向けの認証制度などについて学び、グループディスカッションなどを通して、それぞれ何ができるか考えました。

計8時間の講座の後は、宿題として2週間以内にアセスメントフォームを記入します。気候変動の知識を確認する質問の他に、今後どのような取り組みを行っていくか、具体的なアクションプランを2つ提出しなければなりません。ひとつは個人としての取り組み、もうひとつはグループとしての取り組みです。提出したフォームはカーボンリテラシープロジェクトが審査し、合格すればCertified Carbon Literateと認定されます。

アセスメントの知識のセクションはすらすら記入することができ、個人の取り組みについても我が家の脱炭素化をさらに進めるということで悩まずに書けましたが、困ってしまったのはグループとしての取り組みでした。カーボンリテラシートレーニングは職場や大学、コミュニティグループなどで行われることが多いので、通常はそうした組織を通じた取り組みを考えればよいのですが、私の場合は個人としてトレーニングに参加し、仕事も在宅フリーランスの個人事業主なので同僚はいないし、参加しているグループもありません。講座の先生にも相談して、グループアクションは「主に翻訳者向けのワークショップなどでカーボンリテラシーを広めるための情報発信や啓蒙に取り組むこと、特に日本語での発信に力を入れること」としました。

Certified Carbon Literate受講から6週間ほど経ってから無事合格の連絡が来て、私も晴れてCertified Carbon Literateを名乗ることができるようになりました。でも、アセスメントの内容からもわかるように、カーボンリテラシーの主旨は単に知識を学ぶことではなく、学んだ知識を活用して、炭素削減のための具体的な取り組みを進め、また学ぶ側から知識を伝達する側に回ってカーボンリテラシーの輪を広げていくことです。

そこで、ITI主催でSHEAによる気候変動とサステナビリティに関するウェビナーを開催するという企画が持ち上がったときには、思い切ってパネルディスカッションの司会進行役を引き受けることにしました(当初はCOP28に合わせて12月に開催するという話でしたが、みな忙しい時期ということで、開催は1月になりました)。また、この夏にはITIの日本語翻訳者部会であるJ-Netのワークショップで、カーボンリテラシーをテーマにして話をすることにしました。我が家の脱炭素化プロジェクトも、今年はいよいよオール電化に踏み出したいと計画を進めています。

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